卓越した抑揚

こんにちは。

八戸市に初めて来たのは20年以上前ですが八戸弁は比較的聞き取りやすいな〜と思っております。

こちら(ウィキペディア)に載っている八戸弁の中から比較的に耳にするのは『~すけぇ』『~たっきゃ』あたりでしょうか。上記には載っておりませんが『◯◯っこ』という言い方は可愛らしいですね。また、自分が住んでいた山形でも使われる方言にも似ている言葉があって、東北に共通している部分があるのかなと思ったりします。

ちなみにどこに行っても「あるある」なのが、大概自分の住んでいる地域を基準に考えるので、それ以外の方言に対して「訛っている」と思うことです。これは悪い意味ではなくて、自分のいるところを中心に「モノを見る」とは割と多く見られる傾向なのかなと思います。きっと日本中、誰もが訛っているということになるのでしょうね。漫才のネタのようで面白く感じます。

自分が住んでいた山形県内も青森と同様に複数の方言があります。生まれ育った地域の方言は些細な抑揚も含めて、すらすらと話せるのですが他の方言となるとそうはいきません。英語を頑張って話しても英語圏で生まれ育った人のように話せないのと同様です。

自分も頑張って八戸弁を話したいと思いつつ、無理するとなんか変な感じになります・・・。そういえば、関西人ではない方が話す関西弁も何だか違和感がありますよね。

こちらのサイトで(子供英語タイムズ)によると乳児の言語習得の仕組みについて説明しております。

(引用開始)

・乳児はあらゆる音の聞き分けが可能である
・乳児は周囲の人々が話す母語を聞くうちに、聞き分ける必要のない音の差を無視し、区別しなくなる。
その境目は生後9ヶ月ごろにあたる
・その代わり、母語で聞き分けが必要な音の差に対しては敏感になり、微妙な差を敏感に聞き分ける

(引用終了)

乳児の脳の発達に驚きます。生後6~8ヶ月までは聞き分けできた母国語の子音の差を、生後10ヶ月を超えると聞き分けられなくなるとあります。

言語と言語の聞き分けに関わる根拠は興味深く、特に大人になってから母国語以外、自分の住んでいた地域以外の方言を話すには、音の聞き分けがしにくくなっていることも、抑揚の再現の難しさに影響しているのかなと思いました。方言がそに当てはまるのかわかりませんが、自分の経験上は方言(御国言葉)の微妙な抑揚の再現ができるようになるにはその地域に長く住んで抑揚への慣れを獲得しないと再現が難しいと感じております。

ところで、江戸時代は県単位ではなく藩単位であり、明治以前は日本という意識ではなく藩=国という認識であったと聞いたことがあります。(うろ覚えですが)とかく、方言は御国言葉、長い長い地域性が受け継がれて来た文化だと思います。そう思うと方言は不思議で面白いとわくわくしてきます。

「訛っている」という言い方をすると揶揄する響きもありますが、それどころか「地域の文化を受け継いでいますよ」と堂々とするべきであると思います。

八戸に長く住んでいる人々は方言の微妙な抑揚を上手く発声できており、新参者の自分には「卓越した抑揚」を話せる名人のように見えます。

八戸に敬意を示して。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
青森県八戸市を拠点に普段使いのカウンセリング(日常の悩み事)と支援者への支援(援助職のためのカウンセリング)をご提供しております。