探りを活用すべし

こんにちは。
援助職のためのカウンセリング』の結い心理相談室(青森県八戸市)です。

数多いサイトの中から、当事業所の記事をご覧いただきありがとうございます。

MSW時代、退院支援は本当に大変でした。

誰のための、何のための退院支援か?
これはクライエントの利益に適っているのか?
この進め方で支援を引き継ぐ他機関は納得するだろうか?

遅いと医師や看護師から怒られるだろうか?
何でその退院先なの?と文句を言われないだろうか
他職種との足並みは揃っているか?

一度に色々なことを気にします。

大変だったけど、とてもやり甲斐があった。
やり甲斐もあったけど、大変だった。

前と後ろの言葉を入れ替えると、意味合いがガラッと変わるけど
どっちの気持ちもあります。

公的、対外的にはクライエント優先で!と言うべきですが
内部の目もまた無視できない、非常に難しい立場。

すべての他職種がMSWに厳しいことを言ってくる訳でもないけれど
厳しい言葉は一言でも言われるとしんどい。

看護師からはよく、「本当に大変な仕事だよね...」と
一対一の場面で言われました。

それを、大勢いる所で言ってくれよ!
何度も思いました。

医師からも、たま〜には、ねぎらいの言葉ももらえました。

「やはり、とても大変な作業をしているんだ」と
しみじみ感じます。

患者、患者家族等のクライエントシステム
院内職員(医師、看護師、PT、OT、ST、事務職...)
連携機関

これらに全方位に目を配り、退院後の生活に関する意思決定を担保し
期限内に退院を決める...

上手くいかないことは日常茶飯事。
アクシデント、ハプニングなど珍しくない。

「で、どうする?」を考え続ける。

お陰様で本当に鍛えられ、色々な経験を積んだと思います。

そんな僕が重要視していたことがあります。

それは、院内職員とは常に合意を形成し、自分の心理的安全を確保すること。

正直、自分が心理的に安全でないと、できることもできなくなります。
もちろん、「イエスマン」でいるという意味ではありません。

勝ち取るべき「道理(だいたいがクライエントの意向)」を通すために
内部職員とは常に折衝を重ねていたということです。

カンファレンス等の公的な場での折衝だけでなく
他職種との何気ない日常会話に、通したい方針(の言葉、匂わせ)を伏線として散りばめました。

「初めて聞いた」とか「びっくりした」という状況を作らせないように
情報を相手に忍ばせて、「そう言えば、言っていたね」という状況を作りました。

「なんか工作員みたいだな」と思ったことがあります。
しかし、人の間で動いて、多職種の中で合意を形成するには有効でした。

意外と「聞いていない」という事態を人は嫌うようです。

聞いていたよ、それでいんじゃない?
聞いていたよ、それでもやむなし!

こんな風に収まることは結構ありました。

この作業を何と説明すると、上手く伝わるだろうか。
こちらの投稿が分かりやすいかもしれません。

「恋愛」と「戦争」の例えで「探り」の重要性をさらっと説明する所が
さすがは文豪です。

「恋愛」も見ようによっては、「合意」を形成して、合意の過程を担保する作業の連続

この構図は、退院支援における内部職員との合意形成にも通じます。

「正しい意見が勝つ」ことは、あまりないかも。

探りを入れると、
「◯◯までなら大丈夫そう」「◯◯は駄目なようだ」が分かり

「ここなら合意してくれる」という点が浮かび上がります。
あとは、「合意可能領域」と「通したい方針」を照らし合わせて
具体的な戦略を立案します。

ともすれば、「調整」の一言で済ませられてしまう過程です。

しかし、その「調整」にはいろいろあるのです。
各々が身につけた技は職場内で共有されると良いですよね。

意外と教わったり、教えて経験が少なかったような...。

大変な仕事の負担を軽減するのに、「技」が重要です。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
青森県八戸市・階上町を中心にカウンセラーとして活動しています。また、電話・オンラインカウンセリングもご利用いただけます。
普段使いのカウンセリング(日常の悩み事)と援助職のためのカウンセリングをご提供しております。

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