交渉の三要素

こんにちは。
普段使いのミカタ・カウンセリング&支援者のミカタ・カウンセリングの中田雅也です。

交渉ごとは大変です。その役割を負う人の苦労はいかほどかと思います。

僕もソーシャルワーカーとして、調整、交渉には多々携わってきましたが、やっている最中でも、「怖いな・・」と思うことだらけでした。

「みんなどうやって、この重圧に耐えているのだろう」と思っていたし「逃げたいな」と思うこともしょっちゅうでした。

ごく稀に「さあ、やるぞ」と力がみなぎることもあるのですが、ほとんどは、良くて「どうなるか、さてさて」と淡々とするか、「何とか決まってくれ〜」と縋るような思いに駆られることの方が良かったです。

いつか心が折れて、やれなくなったらどうしよう、と思ったこともありましたが、意外とそう思うほどに大きな失敗がないのは幸いでした。不思議なものです。

僕の勝手な印象ですが、交渉をまとめられる人には、力に満ち溢れて、強気で堂々として・・・というのがありました。

しかし、少なくとも僕はそのような性質ではなく、むしろ正反対です。どちらかというと、内心、おどおどしていることも多いのですが、それでも比較的、大きな失敗もなくまずまず成果を収められたのは(あくまで自称ですが)なぜなのか。

個人的の経験を踏まえて、交渉ごとにおいて大事だと感じる三要素を書いてみます。

1、ぎらぎらしない

ぎらぎらしないとは、自分の要求を前面に出さないということです。

「自分の主張を通そう」と思った時のご自身の心境、状況をちょと想像してみてください。・・・いかがでしょうか。僕の場合ですが、「自分の考えは正しい」「自分の要求以外の選択肢はあり得ない」と思う時です。

そんな心境でいる時は、とても自分勝手になり、下手すれば相手を見下す危険すらあります。何より、怒りっぽくもなります。

こういう心境は、言葉も早口になったり、語気が強くなったり、全体的に圧を発してしまいます。そのような相手に良い印象を抱くでしょうか。少なくとも、そのような自分勝手な人とまともな交渉をしようとは思えなくなります。

「ぎらぎら」と「やる気」は似ているようでちょっと違っていて、「やる気」は表に出さずともうちに秘めて、別の形で表しようがあります。しかし、「ぎらぎら」には「欲」がにじみ出るのでどうしても品が無いと見えてしまいます。

プラスに持っていくことはおろか、マイナスにしてしまう危険がるので、ギラつくのは要注意です。もし可能なら、他者に自分がそんな雰囲気を発していないか、また、そんな言動をしていないか確認してみると良いでしょう。

2、相手の利益も考える

交渉は、勝ち負けを競うものではありません。自分に有利に、相手に不利に、といった結果に至ると、相手は必ずそのことに恨みを感じます。

交渉は、形を変えて何度でも行われることもあります。「あの時、とても屈辱に感じるようなことがあった」という思いを抱かせると、非常にその後の交渉はやりにくくなります。

「今回もどうぞよろしくお願いします。前回はいろいろ無理を聞いてくださってありがとうございました。今度は当方が頑張らせていただきます。」と言えるような雰囲気であれば、いわゆるWinーWinに持ち込めると思います。

巡り巡って、自分に返ってくるものだと思います。

また、相手の利益に言及すれば、相手も嬉しいのはもちろんのこと、最も大切な「信頼」を育むことができます。「こちらの立場のことも考えてくれるのか」と感じてもらった時の表情は、見ていて心地良くもあります。もちろん、いい顔ばかりはできないのですが、それでもできる限り納得して合意を形成することは、今後(将来)の歩みに大きく影響します。

自分の要求を前面に出したくはなるのですが、ちょっと堪えて、遠回りして相手を慮ると、意外とすんなり自分の要求は通ったりします。

もっとも、ただ技術的にやろうとすると、嘘くさい雰囲気が有り有りになって台無しになるので、当事者が本気でそう思わなければ意味がありません

3、弱気にならない

ぎらつく必要もないのですが、弱気になってもいけません。

へり下り過ぎて、自分から要求を捨ててしまうことがあります。もし、相手が強気でがんがん出てくる人なら、とても不平等で不利な結果を招きかねません。もっとも、弱味につけ込むようなやり方をするのも問題ですが。

僕はどちらかというと、不安と裏腹にポーカーフェイスだったと思います。また、不安な自分の気持ちに焦点を当てるよりは、「この交渉の着地点が互いにより良いものであるように」という所に意識を当てておりました。綺麗事かもしれませんが、それでも、不安とギラつく気持ちを抑え、より平常心でいられるにはこの方法が僕には一番でした。

大事な場面で弱気でいると、相手から、交渉相手として相応しくない、準備不足と看做されることがあります。本気での議論、交渉ができないと、そこでの決定事項は本当に履行されるのかと、相手も訝しむことでしょう。

強気かどうかよりも、考え抜き、「自分の本気が伝わる」ことが大事だと思います。仮に、期待した結果は得られなかったとしても、自分の本気もまた相手によく伝わるので、今後に活きる可能性はおおいにあります。

以上が、僕の考える交渉において大事な三要素です。

結局は、人間対人間です。立場によって要求点はさまざまだと思いますが、ざっくりと人間が何を好み、何を嫌うかを考えると、自ずと答えが見えてくるのではないかと思います。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。