将来像があれば

こんにちは。
普段使いのミカタ・カウンセリング&支援者のミカタ・カウンセリングの中田雅也です。

昨日の新聞に自治体職員の退職が急増と出ていて、驚きました。

安定した収入で人気だった自治体職員の退職が止まらない。総務省集計によると、教員や警察などを除く一般行政職のうち、2022年度に主に自己都合で仕事を辞めたのは1万2501人。13年度は5727人で、約10年で2.2倍となった。待遇への不満や業務量の増加が影響しているとみられる。30代までの若手が全体の3分の2を占め、住民サービス低下や組織弱体化が懸念される。

Yahoo!ニュース

事情をよく知らない側からすると、公務員は安定しているので、なりたがる人が多い・・・と思っていたのですが、それももはや昔の話なのかもしれません。

驚くべきは、退職が『30代までの若手が全体の3分の2を占め』という状況でしょう。組織の側からすると、若手がいなくなるのはもっとも避けたい事態だと思います。組織の維持がままならなくなるのもそうですが、「若手がいなくなる」ことには深刻な何かが隠れている可能性があります。

「安定」を捨ててでも他に転職したいと思わせる何かがある。確かに前向きな理由で転職する人もいないわけではありませんが、それなりの倍率を経て入職した自治体を辞めざるを得ない事情があるのだとしたら。

僕は推測しかできませんが、きっと自治体職員の方は、事情を察する人は多いのかもしれません。

僕がかつていた医療福祉業界も、僕が若手の時代と比べても、人の出入りが非常に激しい業界となったと思います。世の中の動向、制度、労働条件、給与などいろいろな要素がありませんが、非常に複雑化して、要求水準が高くなり、過密になり、それでいて待遇は変わらないままだと、厳しくなって当然です。

僕がかつていた医療福祉業界だけがそうなのではなく、世の中全体がそうなのであって、自治体職員もまた同じような状況になるのだと思います。

前例踏襲、予定調和の仕事とは思っていたが、手順や手法すら変えられないのはあり得ない。あと30年近く、非効率的な仕事を続けるのは不可能だった。

デーリー東北(二面)4月21日(日)

詳細が分からないので、勝手なことを言うわけにもいきませんが・・・思うことは、長くいるほどに、その非効率にも慣れてしまうということ。

それに従い続けると、それ以外の方法をしなくなる、考えなくなるのは、ある意味、慣れとか習慣の怖さでもあると思います。

「よく分からない慣習」に気付けるのは、若手だったり、新しく異動で来た人だったりします。何でもかんでも、無闇に変えると確かに問題はありますが、将来に絶望を覚えるような、意義の無い「前例踏襲」なら、いっそ変えて方が良いのはいうまでもありません。

ただ、その自治体の、その部署の中の空気があって、それに染まらずに改善を成し遂げるのは、かなりの勇気(習慣を振り払うという意味で)は必要であり、そこは役職者であったり、年長者が力を振るって欲しいと、きっと若者たちは思っていることでしょう。

関東地方の市役所を去った20代男性の退職理由は、住民によるクレームや過剰要求などのカスタマーハラスメント(カスハラ)だった。「毎日窓口に来て、取るに足らない理由で怒鳴りつける市民もいて疲れ果てた。上司や同僚が全くかばってくれないのにも絶望した。」

デーリー東北(二面)4月21日(日)

こちらの内容も、今風な困り事だと思います。

僕も苦情相談をやっていたので、この大変さは分かります。胆力も技術も要求される役回りだからです。ましてや、このような事態になったら、何かしらの対応をしないと、若手が潰れてしまうのは目に見えております。

誰もかばってもくれず、助けてももらえず、ひたすら苦情を言われ続けるのは、尋常ではなく精神が削られます。ましてや、個人の不始末で怒られるのならともかく、部署や自治体全体に対する苦情なのであれば、より組織的な対応が不可欠です。

大変でも、改善の見通しがあれば、人は頑張っていけます。

「もうどうにもならない」「味方もいない」となった時、人は絶望するのだと思います。退職は、自分を守るためにやむを得ない措置だと思います。

組織の維持のためには、将来を担う若手の活躍が不可欠で、彼らがやっていけると思える計画、将来像を示さないと厳しいのだと思います。当然、それを考える側の苦労も相当なものだろうけど・・・。

ただ、このような状況は、変わっていく機会でもあります。「どう改善していったら、良いか」まずはひたすら解決像を考えていくしかないのかなと思います。可能ならそこに若手も交えて議論できたら良いですね。

「やっていける」と思える将来像があれば、人は残るのだと思います。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。