成年後見を受任した時の話(二)
こんにちは。
普段使いのミカタ・カウンセリング&支援者のミカタ・カウンセリングの中田雅也です。
昨日に続き、成年後見人を受任した時の話をさせていただきます。
今回は、終活に絡めた話として、最期の対応についてお話しします。
参考として以下の情報を記します。
僕が受任した被成年後見人もいわゆる身寄りのない方でした。
「身寄りがない」といっても、実はいろいろな類型があります。
- 親族も含めて、完全に血縁者が存命ではない
- 何かしらの親族はいるが、関わりを完全に拒否している
- 何かしらの親族はいて、関わりを拒否しているが、最期だけは関わる意思を示している
大雑把にこのような感じになるかと。意外と①のように完全に誰もいない例は、僕の経験上は少なかったです。
どちらかというと、②と③が多かった印象です。
医療機関で身寄りがない方が亡くなった場合、基本的には行政対応となります。
墓地、埋葬等に関する法律 第9条「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」
厚生労働省で「身寄りのない方が亡くなられた場合の 遺留金等の取扱いの手引」というガイドラインを出しております。僕が現場担当者だった時にはまだありませんでしたが、今はこのように整備されているようです。
以下は、上記SNSにあった記事の抜粋です。
成年後見人は、本人の判断能力などに不安がある場合、親族や自治体などが裁判所に申し立てて選任されます。財産の管理のほか、介護の施設やサービスの契約などを代わりに担っていて、本来はこうした生きている間のサポートが役割です。
しかし最近、亡くなったあと親族が関わりを拒否し、成年後見人がやむをえず家庭裁判所の許可を得るなどして代わりに火葬や納骨を行うケースが多いといいます。こうした業務は本来、成年後見人に定められた役割ではありません。
後見人は生きている間の権利を守るためにいるので、亡くなられたとたん、私たちの権限はないんです。だけど、病院から『亡くなられました』という情報が入るので、そのまま放っておくわけにはいかないんです。
NHK
こちらに書かれているとおり、本来は、亡くなると後見人は権限を失うため、死後対応については本来ではありません。
僕の15年ほど前の事例でも変わりありませんが、当時は身寄りのない方自体が少なかったので、僕も行政担当者も手探りでした。
敢えて言うなら、親族が「骨は引き取る」という意思は示してくれていることや、死後対応の役割分担を行政側から打診を受けていたので、実は意外と迷わずに対応できました。
僕が関わった事案では、受任して一年半後くらいに悪性腫瘍の診断があり、予後が厳しいとの見立てが出ておりました。
そこから亡くなるまで一年ほど時間がありましたが、その間に関係者とじっくりと打ち合わせができたのは幸いでした。
詳細は端折りますが、死亡届の提出の他、納棺から火葬まで、行政担当者と一緒に対応させていただきました。対応といっても、居合わせたくらいです。やはり、自分が関わってきて、最後の礼儀と言いますか、お別れではないけれど、そのくらいはしなければいけないという思いに駆られました。
当時としては、稀な事例だったとは思います。ただ、行政担当者は、これが初めてではなく、年に何度かあるのだと言っておりました。僕もそうですが、行政担当者も土日祝日に関係なく動いてくださったので、彼らには頭が下がる思いです。
ちなみに、ここまで関わる必要があったかと言えば、断ることもできたかもしれません。
それでも、被後見人との関わりや行政担当者との協働関係から、敢えて関わらせていただきました。その後も、行政担当者とは強い信頼関係のもと、平素の業務でも協力、協働するに至りました。
今も、社会福祉士をはじめ、第三者後見を受任する方が、今もいらっしゃるかと思います。
その方々にお伝えしたいのは、困った事があったら、自分一人で決して抱え込まない事です。
社会福祉士会は元より、行政担当者、後見人の経験者など、資源を総動員するのが良いと思います。そして、何かしらのリスクが予想されるなら、早いうちからリスクを摘むのが最善だと思います。
僕も、関わった事案がこんなに早く集結するとは思わず、特に最期の対応については、全て事前協議できたので右往左往せず、関わった人々と共に、各々がつつがなく役割遂行できた事が功を奏したと思います。
福祉の相談、カウンセリングでも、抱え込まず、早めに相談するがやはり鉄則のようです。
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