成年後見人を受任した時の話(一)

こんにちは。
普段使いのミカタ・カウンセリング&支援者のミカタ・カウンセリングの中田雅也です。

以前、社会福祉士として、社会福祉士会ぱあとなあ登録者として、成年後見人を受任したことがありました。

20代の時、いろいろなことに挑んでみたくて、介護支援専門員の資格を取ったり、職能団体の活動に参画したりしました。

その中の一つとして、成年後見人養成研修というものを受けてみました。職場の同僚、上司が後見人を受任していたこともり、自分もどんな世界なのか興味があったので、言い方は悪いかもしれませんが好奇心から「やってみたい」と思いました。

かれこれ15年前くらいの話です。

個人を特定されないように配慮の上、僕自身の経験に焦点を当ててお話しいたします。

社会福祉士会からは、受任の受け手が少ないので、受任の要請があったらぜひ受けて欲しいという言葉があったと思います。

最初は、やる気に燃えておりましたが、いざやるとなると、ちょっとビビったりもしました。

それも当然です。相手(被後見人)の年齢にもよりますが、長い付き合いにもなり、当たり前ですが「やっぱ、やーめた」などという無責任なことは許されないからです。

もっとも、だからと言ってそんなに気負っても仕方がありませんが。

成年後見人養成研修を終え、ぱあとなあ登録がされ、それから数ヶ月もせず、早々に受任要請がありました。

僕に来たのは、いわゆる「身寄りのない」事例でした。当時は数が少なく珍しかった「市町村長申立」によって、「保佐人」相当との審判を受けた方でした。

ここ10年来くらいでしょうか。

身寄りのない方が急増したのは。それ以前は数年に一人いるかどうかという、稀な事案だったのが身寄りのない事例でした。

一応、後見人受任の打診は、事例概要を知らされた上で、受任の可否が可能です。断ることも可能だったし、身寄りのない事例となるとそれなりに身構えるのも事実です。

しかし、福祉事務所が「市町村長申立」として関わっていて、申立のための必要情報も福祉事務所が把握していたこと、今後も一緒に関わって協働で動いてくれるとの確約があったので、「それならばお願いします」と引き受けました。

そもそも後見の審判を終えている段階で、被後見人に対して当座、どんな支援の必要性があるのか関わった関係者の間では方針が出ていることが多いです。

故に、後見人が一から全部、情報を収集したり、支援方針を立てることはなかったです(少なくとも、僕の場合は)。もちろん、事例よって様々ですが、「個人後見で大丈夫」となるからには、それ相応の範囲で収まっていることが多いものと思います。

僕が関わった事案の場合、日常的な財産管理の他、住んでいた借家の解約、退去処分と、医療機関に長期入院中で医療費の滞納が続いていたのでその返済計画に目処をつけるのが当座の主な仕事でした。

時間はかかりましたが、福祉事務所担当者と一緒に借家の退去を進め、介護施設の申請手続きをして、幸いなことにその医療機関は事情を汲んでくださり、入所が決まるまで入院を継続させてくれたので非常に助かりました。

今の医療制度なら、そうはならなかっただろうと思いますが、とても助けられました。

後見人はあくまで財産管理と身上監護の契約行為を代理する立場です。家族のように全てを担える訳でもなく、担う立場でもありません。この微妙な役割の違いを(今はどうか分かりませんが)周囲関係者(特に医療機関)が理解してくれずに揉める場面は、自分の所属機関でもしばしば目にしてきました。

率直な話、法的には問題なくても、関わっている関係者の役割認識の齟齬により、後見人はやらなくても良いことを多々、しなければならないことがあります。

例えば、「物品調達」です。必要な物品をまとめて清算するのは役割の範囲内ですが、直接準備するとなると範囲外です。入院中の身の回り品の調達であれば、近年であれば「入院セット」があるので、それを契約するだけで良いのですが、15年前はそうはいきませんでした。

長期入院させてもらってもいるので、(何事もなければ)月に一回は顔を出して、ついでに買い出しするのもやむなしと、当時は判断しました。今となっても、それは仕方がないかなと思います。医療機関側も本人のことを考えて要望してくれていたことが分かっていたからです。

被後見人(被保佐人)との関係は良好でした。

会話による疎通は難しい方でしたが、話しかけるとそれなりに理解はしてくださった雰囲気があり、表情を見ればある程度の判断はできました。

甘いものが好きな方で、買い出しの際、要望の菓子パンを買ってくると実に嬉しそうでした。もしかすると「たまにやってきて、パンを買ってきてくれる人」との認識だったかもしれませんが、それでも本人との関係が「良好」と思えたのは僕にはかなり心強かったです。入院先の職員もそんな雰囲気を察してくれたり、必要な事項には動いてくれると思ってもらえたことで、最期まで職員さんとも良好でいられたのは、僕にとってはとても助かりました。

後見人の業務とソーシャルワークは同じではありませんが、クライエントとの基本的信頼、関係者との関係構築という意味では、同じだったと思います。

(次回へ続く)

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。