得意なことの見つけ方

どうすると見つかるか

僕が学生の頃、就活といえば履歴書のみでした。
今は、社会人経験ありだと職務経歴書も必須のようです。
項目を見ると、「自分が得意なこと」「業績」「組織に貢献したこと」等の欄があって、これは意外と書くのが大変そう...と思いました。

一つの所属機関にずっと勤めていると、自己宣伝するとか、自分の得意なことを言語化する機会がほとんど無くなります。
しかし、時々でも、考えると良いと思います。特に、業績や貢献したことについては。

勤めていると、基本、業務上の指示に従って動くので、どうしても能動的に動く機会が減るのは否めないと思います。
何なら、今日の課せられた仕事を終えること、で満足することが習慣になるかもしれません。
言うなれば「受け身」「惰性」で仕事をしがちで、そうなると、本当は自分が何を好むのか、得意なのか、どんな貢献をするとクライエントや組織のためになるのか、といったことは、あまり考えなくなるかも知れません。

これは、僕個人の振り返りに基づく一意見ですで悪しからず。

僕は、組織に所属していた時を振り返って何が一番良かったかといえば、たくさんの「新しいこと」に取り組ませていただいたことです。
特に、新しい事業、新しい部署の設立、業務開発、各種手順書(マニュアル)の整備、講師経験、職能団体等の活動など。
上手くいったこともあれば、そうではなかったこともありました。
ややもすると、上手くいかなかったことばかりに目が行きがちです。しかし、こう考えるべきです

何が得意で、何が見つけるなのか、何が自分に合うのか、合わないのかを知ることができた、と。

次々とやってくる新しいことに対して、誤解を恐れずにいえば、僕は退屈せずに済みました
僕にとって、一番嫌だったことは退屈であり、自分の力の向け所が無いこと。

たくさん経験させていただいた事は、紛れもなく「宝」であったと思います。

この話に関連して、以下のようなSNS投稿を見つけ、思わず膝を打ちました。

いろいろ試してみるしかない

自分が何が得意か、何が好きかは、頭の中で考えただけでは、実際は分からないと思います。
やっていく中で、「これ好きかも」と思うこともあります。真っ先に飛びつく業務に対して、あとから「それが好き」と気付くことがあったりします。

ちなみに僕は、組織に属していた時は、パソコンを使った作業が大好きでした。
Wordで成文し形式を整えることも、Excelで事象を数値に落とし込んでグラフを作るのも、PowerPointでプレゼン資料を作るのも、その他、掲示用のポスターを作ることも、画像編集も、ホームページ作成に係る作業も大好きでした。

手順書(マニュアル)の整備も大好きでした。
これは、ごちゃごちゃしたもの、新旧入り混じったものを整理整頓するのが好きだからです。ただ、残念なことに、大雑把な性格なので誤字や見落としがあるのが欠点です。
これも取り組んだからこそ、よ〜く分かりました。

副業について

副業をいろいろやってみるのは、個人的にも良い経験だったと思います。

しかし、一般的に、常勤で勤めていると副業を禁止する就業規則となっている所が多いと思います。

個人的には、この考えには反対です。
僕の考える反対の理由は以下の通りです。

1、業務に支障がないのであれば個人の自由だから
2、組織が、安定的な待遇(給与、労働時間等の環境)をずっと保証できる訳でもないため、長期的に転職も視野に入れ、副業実践によって能力を磨き、視野を広くするのは、社会で生き残る上での生存戦略であり、それを制限するのは権利侵害だと考えるから
3、職能の世界だと特に、講師派遣の業務は日常茶飯事であり、それは副業とは看做されないが、それは二重基準であり、一律に副業を禁止する合理性に欠くと考えるから

ちなみに、やはり、副業を巡っては、裁判の判例がいくつか出ているようですね。

厚生労働省が、副業・兼業の促進に関するガイドラインを出しており、『労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由』と書かれております。制限することが許されるのは以下の四点に該当する場合だそうです。

このように現状では、各企業が副業に対して制限を設ける事が許されるケースは

❶労務提供上の支障となる場合
❷企業秘密が漏洩する場合
❸企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
❹競業により企業の利益を害する場合

の4つになります。

Bit Work

よって、上記に該当しなければ、本来は、認められるべきです。
更に、ちなみに、僕も過去に「成年後見人」を受諾して報酬を得た時も所属機関と揉めて、個別交渉して、特例では認めてもらえましたが、一律に認められた訳ではありませんでした。

こうやって小さなことからでも、組織と戦う(交渉)ことは大事だと思います。

交渉するには知識が必要であり、どう交渉するかを考えること自体が思考訓練となり、成果が出れば、他の誰かの利益にもなるからです。

個人の副業体験

在職時は、成年後見人を一時期、受任したくらいでした。
そして、退職直前の有休消化中から、副業をいろいろ行いました。

複数させていただきましたが、一つは傾聴(実質、カウンセリング機能を提供)です。
業務用の電話番号を、業務委託先のサイトに登録して、ご利用者から電話がかかってくるという仕組みでした。
僕にとっては、これまでは主に医療福祉分野の相談ばかりでしたが、それに限らず、幅広いあらゆる話を聞かせていただいたことはとても良い経験となりました。いわば、異種格闘技戦をしているような気分でした。そこでは援助技術は、基本、領域が異なっても十分通じることが分かりました。

弱点も分かりました。
いつかかってくるか分からない電話にいつでも備えるのは思いの外、大変でした。そういった経験からも、当事業所では予約制を採用する判断材料となりました。

また、いわゆる事務(Word、Excel等の駆使)の試用試験を受けたこともあります。
恥ずかしい話、自分では「そこそこできる」と思っていたのですが、実際、それで稼ぐとなると、非常に高度な能力が求められることを知りました。具体的には、僕が使ったことのない高度な関数等の駆使です。

当たり前ですが、業務の傍ら補助的に使っていたExcel等の技能では、それだけで稼ぐのは難しいのです。決して、舐めていた訳ではありませんが、結果的には舐めていたことになるのかも知れません。「そこそこできる」との勘違いを見事に打ち砕いてくれました。

今でも、office系ソフトを使った作業は好きなのですが、ただ好きなのと、それで稼げるかことは全く別問題です。
そして、好きではあるけど、稼ぐためにやれるかとなると、僕は『いいえ』でした。

僕は、結局は、人の存在や人の心に触れ、人に安心感を得て欲しい、喜んで欲しい、という思いが強く、人に関わる仕事が好きなのです。
このために本気になりたいと思い、これまでの経験をそのまま活かせる道でもあることから、「開業したい」という意欲が強く、それによって決断することができました。

僕の場合、副業を少し経験した程度ですが、それでもたくさんの気付きがありました。
「やはり、この道だ」と確信する契機となったのは、副業経験に拠る所が大きいです。

副業によって、得意なこと、苦手なこと、続けたいこと、本当に好きなことが見つけられたと思います。
結果的には、副業自体には早々に見切りをつけることになったのですが、それでも良かったと思います。
その分、本業を長く続けたいと思っております。

個人事業主の場合、一人でたくさんのことを処理します。
カウンセリング・ソーシャルワークのことはもちろん、ホームページ作成、マーケティング、業務上の必要書類、一定程度の法律知識の習得等。
どこにあるか分からない正解、最適解を探す日々です。

本業を支えるための技能としても、副業では不十分であった技能が、十分に活かせております。

結論

SNS投稿にあった、『多くの経験を通さないと何が得意で、何が好きなのかわかりはしない。』の考え方に僕は賛同します。
何より、この「探すという作業」があること自体、僕は退職するまで知りませんでした。言わば、「セルフ・プロデュース」でもあるのだと思います。

開業もそうですが、行動するということは、とても大事です。
考え無しに行動するのは良くありませんが、考え過ぎて行動しないのはもっと問題です。

僕自身は、勤めていた時から、大変でも、新しいことに挑戦するのが大好きで、わくわくしておりました。
そして、今も、実は同じことをしているのだと気付きました。

自分のできる所から、ちょっとずつでも踏み出してみませんか。
きっと、新鮮な光景が見れるようになると思います。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
青森県八戸市・階上町を中心にカウンセラーとして活動しています。また、電話・オンラインカウンセリングもご利用いただけます。
普段使いのカウンセリング(日常の悩み事)と援助職のためのカウンセリングをご提供しております。