弱いは強い(一)

本日、偶然にも、大変素敵なサイトに出会いました。
それは、よわいはつよいプロジェクト、です。

「よわいはつよいプロジェクト」ではアスリートが率先して、またオープンに心の不調と向き合うことで精神疾患に関する偏見や圧力を緩和し、当たり前に治療することができる社会の一助になれればと思います。

よわいはつよいプロジェクト

僕もそうですが、きっと世間の人々は、アスリートに対して屈強、弱音を吐かない、そんな印象を持っているのではないでしょうか。
しかし、このサイトに載っているアスリート各位の弱さの告白に、僕は胸を打たれると共に、ただただ共感しかありませんでした。

元ラグビー選手
(2017年引退)
和田拓

キャプテンに就任した時に一つ決めたことは「弱音を吐かないこと」でした。 そして、重圧に押し潰されそうになりながら視野の狭い日々を過ごし、シーズンが終わるとなんだかホッとしていた記憶があります。 その考えが間違いだったことに気づいたのは、ずいぶん時間が経ってからでした。 心が暗くても時は流れていきますが、どんな人でも「今」を輝かせるように過ごせるといいと思います。 弱い自分を認める、身近な人に話してみる。 それが仲間を増やすきっかけにもなりましたし、そのことで生活に彩りが出た気がしました。 小さな勇気が受け入れられる世の中になっていけばいいなと思います。

よわいはつよいプロジェクト

僕も初めてリーダーになった時、リーダーは強くなくてはいけない、情けない姿を見せてはいけないと思い込んでおりました。
重圧に押しつぶされそうになりながら、家という安全地帯に帰ると、心底ホッとしました。
その反面、朝がやってくると、「また戦場に行くのか」と、正直、憂鬱ではない朝はありませんでした。
しかし、弱さを認め、それを周りに伝え、どうやっていけば良いかを一緒に考えれば、異なる景色が見えるはずです。また、周りもリーダーが潰れることなど誰も望んではおりません。

僕が、「支援者のミカタ」として、支援者の支援、リーダーのメンタルケアをしたいと思ったきっかけは、まさしくこの経験によるものです。

このアスリートの方々のように、リーダー経験者である僕も、自ら弱さを晒すことで、弱いことは恥ずかしいことでもなく、たとえ周りに言うのが怖かったとしても、それを分かってくれる人間が必ずいることを伝えたかったのです。

元バレーボール日本代表
一般社団法人監督が怒ってはいけない大会 代表
益子直美

弱かったからこそ、今、気づいたことがいっぱいある。 円形脱毛症になったとき、こんな恥ずかしいこと、誰にも知られたくない、とマジックで塗って隠していた。 エースなのに、トスが上がってくるのが怖かった。 ずっと自分はメンタル弱くて、スポーツには向いていないと自分自身を否定し続けて、引退することしか考えられなかった現役時代。 時間はかかったけれど、自分を認めることができた今、たくさんの気づきが生まれ、監督が怒ってはいけない大会につながっています。

よわいはつよいプロジェクト

僕は、アスリートだったことは、一度もありませんが、この内容もとても共感できます。
僕も、支援者であることをずっと目指して頑張ってきたはずなのに、あまりの大変さに向いていないんじゃないかと何度も悩みました。
図らずもリーダーになった時、やはり、自分には向いていないと何度も悩みました。このままでは潰れてしまう、と思いながらもその時には、何も有効な手段が取れませんでした。

『 時間はかかったけれど、自分を認めることができた今、たくさんの気づきが生まれ』というのは、僕と同じだな・・・と思いました。僕も苦しんだだけに、益子氏もさぞ苦しかっただろうに・・・と思わずにはいられません。

ところで『監督が怒ってはいけない大会』はとても良い発想だと思います。
昭和の時代、学校で体罰は日常茶飯事でした。叩かない教員はいなかったのではないかと思うくらいに。
しかし、あの時、僕は叩かれることは怖くて、恐ろしくて、ただただ萎縮していた記憶があります。そうなると、自ずと力ある大人の顔色を伺うようになります。
この関係を学習してしまい、似たような場面でも同じ振る舞いをしてしまうので、力で支配する呪縛は思いの外、悪影響があると思います。

「金魚の水槽」という話があります。

病気になってしまった金魚を治すためにお薬の点滴を垂らすと、その薬がなくては生きていけない金魚になってしまう。 けれども、酸素や水といった水槽、つまり「環境」のほうを改善するほうが金魚を元気にさせる、という話です。

「PDP」でアスリートのウェルビーイングを促進していく取り組みは、いわば「金魚=選手自身」に個別のアプローチでフォローしていく仕組みです。 一方で、選手たちを取り巻くチームやファンやメディアも含めた「水槽=社会」のほうにもアプローチしていく必要があると考えました。

※PDP=Player Development Program(選手たちを、法律・ファイナンス・キャリア・メンタルヘルスの4つの観点からサポートする仕組み

よわいはつよいプロジェクト

「よわいはつよいプロジェクト」のはじまりは、ラグビー選手のための取り組みだったようです。
そこで選手個人への働きかけと共に、社会(環境)への働きかけも重視しております。
まさしく、ソーシャルワークそのものです。とても素敵な取り組みだと思いました。

ところで、僕は弱さを周囲に伝えた時、とても驚かれたのを鮮明に覚えております。
「そんな風には全く見えなかった」
「いつもひょうひょうとしているように見えた」
・・・とんでもない。僕は、そうするやり方しか知らなかっただけ。
もし、あのまま突き進んでいたらどうなっていただろうかと、ゾッとします。心だけでなく、体にも大病を抱えたのではないかと思います。

重圧のかかる立ち位置から離れたことで、たくさんの、本当にたくさんの気づきを得ました。
まるで、今のこの立ち位置(個人事業主)で発信したり、個別支援をしたり、支援者のミカタとして活動するように導かれたかのように。
そう思わざるを得ないくらいに、今の取り組みは、過去の自分と密接に繋がっております。

自分の経験談を話し過ぎることにためらいが無い訳ではないのですが、「弱さがあっていい」「自分自身を守っていい」「あなたも幸せでなければならない」ということを、その立場を経験した者が伝えるべきではないかと思っております。

どうして、あなたが、潰れて良いでしょうか。
もっと、もっと、あなたを大切にしましょう。
心から、そう願います。


投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。