他職に学ぶ

以前、面接技法の研修で、テレビのインタビュー場面を題材にしている講師がおりました。当時は、その意味を図りかねていたのですが、今となっては講師の意図がよく分かります。

インタビューは、時間が長かったり、短かったり様々ですが、インタビューの目的に沿って、聞き手は、対象者にあれこれ質問していきます。

インタビュアーも題目に沿って、質問内容を事前にある程度に決めていると思いますが、「上手なインタビュー」の場面を観察していると、対象者の話した内容に沿って、最小限の質問でどんどんと話が深まり、会話自体も流れるように滑らかに展開するので聞いていて心地よいです。

逆に、あまり上手ではないインタビューだと、会話がぎこちなくなったり、対象者の気持ちを考えないで自分の聞きたいことを一方的に聞いたりするので、対象者も不満げだったりする場面を見たことがあります。

上手なインタビュアーは、相手にも、相手の話にも最大限の関心を払っていると感じます。僅かな表情や言葉の起伏から、相手の気持ちを読み取り、それについて更に質問していきます。それは簡単なようでとても難しいことです。

援助の面接場面(カウンセリング場面等)にも通じる、活かせる真髄がふんだんに散りばめられて面白くもあります。きっと、文字起こしをして振り返ったら、そのまま面接の練習としても活かせそうです。

話変わって、営業の方を見ていても、とても勉強になります。

ある自動車販売店の営業の方と話をしていて、心地良いと感じる話の進め方をしていると思いました。

例えば、自動車保険の話をしていて、契約内容によって金額がどんどんと上がると、誰だって「厳しい」と感じざるを得ません。その方は、最初から、『「高い」所から始めますよ』と前置きをして話を始めました。
最初からそう言われると、心の準備が出来るから、なんとか耐えられます。そして、手厚い「高額」な状況から、徐々に不要と思うものから外して、徐々に総額保険料を下げて行って、程よい所で、保証内容も含めて「良し」と思える点を探しておりました。
これも人の心理を突いた大事なことだと思います。簡単なようで、誰もがしているわけではないことだと思います。

また、手続き上、必要な書類を関係機関から貰ってくる説明の時にも、『ここから◯◯分の所に◯◯の機関があって、直ぐに発行してもらうことができます。」』と言っており、具体的に◯◯分とまで言われると、予測が立ちやすく、行動に対する億劫さが芽生えないから、不思議です。

話の折々に、微細な気遣いを散りばめているのが僕にはよく伝わりました。

「何だか心地良い」と感じる場面があった時、その理由を探ると、そこにたくさんの気遣いに基づいた業があることに気付きます。

もちろん、商売であることが前提ですが、「この人からなら、買ってもいい」と思わせたのなら、それはすごいことだと思います。

援助職にとって、学ぶというと、ついつい「専門分野」に目が行きがちです。

しかし、日常に触れる普通の場面にもまた、たくさんの学びが得られます。普段、業務上の連携する機会が無い職種にも、たくさんの支援に活かせる真髄が散りばめられています。

それは人との関わりにおける、普遍的なことを突いているから、なのだと思います。

投稿者

中田雅也

青森県八戸市。支援者のための、支援者のミカタ(味方) カウンセラー。Click  
元MSW(20年来)。ソーシャルワーク部門管理職、職能団体の長、所属組織の経営幹部を経験。 支援者(援助職、医療従事者、管理者等)への支援が必要と思い至る。
強みを活かして、より良き人生を。全ての人に身近なソーシャルワーク・カウンセリングを。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。

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