相手の流儀を知る

こんにちは。

医療ソーシャルワーカー時代、医師とのやり取りは、程度の差はあっても、いつも一定の緊張感があったと思います。それがとても大変であり、そこから学べたたくさんのこともあり、今となっては良い思い出です。

医師は、自分の信念や診療のやり方に一定の規則などの拘りを持っている方が多いです。さながら医師各位が一国一城の主のようなものだと思います。

彼らと意思疎通を図り、仕事において確実に事を為すには、彼ら個々の流儀を踏まえるのが最も確実だと思います。

大概、医師はいつも忙しく、平静でいるようでも余裕が無いことがしばしばです。それらも踏まえ、忙しい彼らに、いつ、どこで、どのように話しかけると良いのか、何を嫌い、何を好むのかを押さえることはとても有効であり、全く押さえないとなかなかの頻度で揉めます(笑)。もちろん、全員が必ずそうというわけではありませんが。

ソーシャルワークでアセスメント(援助に必要なクライアントの情報を系統立てて集めて、読み解くこと)と言うと、患者さんや家族といった方がクライエントになるのですが、援助のために働きかける対象(ターゲットシステム)としての医療者も不可欠な要素のため、社会資源の一部でもある彼らに対するアセスメントも実は欠かせません。

今回は、医師とのやり取りを基に、医師に比較的共通するであろう性質を踏まえ、円滑な関係を築き、業務目的を達成できる意思疎通に有効だったと僕が感じた経験を例にお話しします。

医師は忙しいので、筋道の見えない話をされるのを嫌います。誰だって、余裕が無い時に、『つまり、どういうこと』と疑問符が付く会話をされると、腹が立つと思います。

また、どの時機に話しかけるかも大事で、たとえ協議したい医師が目の前にいても、考え無しに話しかけるのは賢明ではありません。その後に別の予定が立て込んでいたりすることもあるからです。

だから大事な話ほど、まず相手の都合を確認することが欠かせません。人によっては、朝一番の頭が冴えている時が話し時の場合もあれば、朝は苦手で午後の方が良い話が出来ることもあります。昼休みは絶対に邪魔してはいけないという雰囲気を醸し出す人もいます。

僕はよく、医師とやや難しい交渉事がある時は、医師の価値観や考え方の流儀を踏まえ、相手にとっても悪く無いと思われる落とし所を一つ、二つ決めてから臨みました。

その上で、『○○の件でお話ししたいことがありまして、解決のための提案をお話ししたいで、二分ほどお話しして良いですか』と切り出すのが、僕の定型でした。

急に話しかけると、案件(議題等)を思い出せないこともあるので、思い出せる鍵言葉を伝えます。目の動きから、想起できたかは直ぐに分かります。

「解決のための提案」と言うと、時間を取ってまで聞く価値がありますよと暗に伝えることにもなり、更に、具体的に○分と言うと、『それ位なら聞いても良いよ』と思ってもらえます。逆に、話の中身も分からず漠然と言うと、少なからず怪訝な表情をされ、ますます交渉を不利にしてしまいます。

落とし所を一つ以上考えて臨む理由は、相手によっては丸め込まれたと思うことがあるので、A案かB案かの選択が出来ることで、自由度を感じられるため、決して悪い気分にはなりません。

事によりますが、余計な感情が入って拗れるよりも、速やかに一気に解決した方が、相互の間で悪い感情を共有することが無くなり、今後の仕事のしやすさにも活きてきます。これも一種の人間関係の貯蓄みたいなもので、別件で上手くいかないことがあっても「今回は仕方がないね」で収めてもらえることがあります。

思い出しても、医師とのやり取りは緊張もしましたが、面白くもあり、本当に勉強になりました。

先には、流儀を踏まえるという言い方をしましたが、相手の価値観を知ろうとして、それを踏まえるとは相手に対する最大限の尊重とも言えます。相手が誰であろうと、上司でも、友人でも、家族でも、されたらきっと嬉しいでしょう。

今回は医師を例に出しましたが、どんな人であっても自分の流儀(主義、主張、価値観等)を持っております。どのくらいに自分の流儀を前面に出すかは人や場面によって様々ですが、覚えられて、尊重されたら、嬉しくもあり、心地よくもあります。

さながら呼吸を合わせるような作業でもあると思います。そして、これは別に医療機関に限らず、どの組織であっても同じだと思います。

相手の流儀を踏まえるとは、相手を大切にすると同義であり、どのような社会であっても通じる人間関係の鍵でもあると僕は思います

投稿者青森県八戸市・階上町の心理カウンセラー)

中田雅也

人間関係、職場のストレス、働き方、家族、将来や人生についてのお悩み、性格等の自分自身の悩み、人を支える立場の方の悩みに対応します。 あなたのためだけのプライベート・カウンセリングをご利用ください。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。

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