居心地という不思議
たまにしか行かない古い喫茶店があります。
たまにしか行かない理由は、深く、余韻も含めて味わいたいから。
好きなものに対する接し方は人それぞれだと思います。僕の場合は、たくさん触れる場合と、少ない頻度で丁重に愛でるようにするものとに分かれます。件の喫茶店は後者です。
「コーヒーも雰囲気も味わいたい」とは言いましたが、そこの喫茶店でしか味わえない「居心地」があるから、そこに希少価値を感じるのだと思います。
居心地とは、ある場所や地位にいる時に感じる気持ち。
何を居心地が良いと感じるかは人それぞれ。新しければ良いという訳ではない。味が良ければ良いという訳でもない。対応が良いからという訳でもない。
そこに在る店の雰囲気は、決して意図して作りきれるものではなく、店を構成する全ての要素(店主、コーヒー、客など)が積み上がって作り上げられた、醸し出すもの。
安易に再現できる性質のものではないから、唯一無二だからこそ価値があると思います。
件の喫茶店は、こぢんまりして、美味しいコーヒーを店主との雑談を肴に味わいます。
普段は、静かに過ごす方が好きですが、ここでは妙に話したくなります。店主の人柄もあるかもしれません。どうと言うこともない、たわいのない会話ですが、その会話の感触は、ここの店主とでないと感じられないのです。
また、話すだけなら、家族でも、友人でも、仲間でも出来ます。しかし、今ある関係性の外側にあるからこそ、自由に話せるということもあります。カウンセリングもそのようであると思います。
実際、話した後は気分が良いのですから。
居心地の良さとは、その対象との相性のようなもの。
きっと時間を経て、人間関係のように変化していくこともあると思います。
いつかはこの居心地の良さも失われるかもしれません。儚いけれど、今の居心地の良さがある内は、それを楽しみたいと思います。
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