力が発揮されるための必要条件
漫画ドラえもんで何故か記憶に残っている一場面。
ドラえもんがのび太君に「畳のヘリを歩いてごらん」と言う。のび太君は「ばかにするな」と言って、悠々と畳のへりの上を歩く。
ドラえもんがのび太君に「じゃあ、今度は、同じ幅の塀の上を歩いてみて」と言う。のび太君は塀は高さに足がすくんで一歩も動けませんでした。ドラえもんはのび太君に「同じ幅なのに、どうして動けないの」と言いました。
「歩けるわけないよ、あんなに高い所。」
記憶を頼りに、こんな内容だったかと。同じ「幅を歩く」でも、環境が変わると容易では無いこと伝えていた場面だったと思います。
何だそんな当たり前のこと、と思うやも知れません。
しかし、環境が変わると、出来るはずの事が出来なくなるのは良くあります。競技でも「自分の力を十分に発揮できなかった」というやつです。
試験だったり、スポーツだったりと場面は色々。
僕は、個人的には研修講師をした時に「こんなはずでは」という痛恨の失敗と後悔を二度ほど経験しました。だから、以後は会場の環境(設営)、当日の時間の流れ、受講生の属性・性質は必ず確認するようになりました。
過ぎた出来事は取り返しがつきません。後悔先に立たずは、言葉としては聞き慣れていても、これを実感した時に初めてその意味を知るのだと思います。
同じ場面は一つとしてありません。しかし、類似の場面で、試験なら試験で、研修なら研修で、競技の試合なら試合で、借りを返して、報いなければ前に進めないということもあります。
きっと、こういった失敗を経験している人ほど、力を発揮しなければいけない場面の環境に拘ると思います。
臆病なほどに慎重になると思います。その臆病さは、失敗という経験によってもたらされたものです。
しかし、それによって今後は確実に事を為すようになるでしょう。
これもうろ覚えの記憶。
テニスの松岡修造氏は、子どもの海外鍛錬の際、子どもを試合会場よりずっと遠い場所に置いて、自分一人で会場まで来てみなさいと言ったそうな。
僕なりの解釈ですが、選手はただ会場で競技をするだけが全てではなく、慣れない海外で会場に行くことから勝負は始まっているのだと。
移動等の工程を誰かがやってくれると安易に頼るのではなく、自分で掴み取って、全てを管理して、上手くいかないことも言い訳にしない強さが求められるのだと。
まさに、たくましさを育もうとしたのではないかと思います。
自分の力を発揮するための備えが出来ているかによって、結果が大きく左右されます。
自分の力が発揮できるためには、何かしらの必要条件があります。その条件は人によって様々。自分には何が必要なのか、逆に何が在ってはならないのか。それを知るには、多くの上手くいかない経験を糧としなければなりません。
当たり前のことですが、忘れてはいけないことです。
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