育苗
こんにちは。
地元の学校は今日が終業式のようです。
いよいよ春休みですね。
また、近所の畑で土作りしている光景も見られ、芽吹く季節の到来を感じさせます。
個人的な思い出話ですが、春休みの時期と言えば「育苗箱」の準備を思い出します。
育苗箱とは、稲の種籾を蒔く、苗を植える土を容れる箱です。
農家の父の手伝いで、かなりの数の育苗箱に、新聞紙を敷く作業を手伝いました。
単純作業の繰り返しなので、簡単なようでかなり大変でした。
農家の倅の言っても、大して手伝いもしていなかったので、農家の大変さはあまりわかっていません。
ただ、父は米作りに誇りを持っていて、そんな父の姿に米作り職人を感じて、僕も誇らしく思っておりました。
そこに注いだ情熱は相当なものです。
稲ってやつはな、弱い。
人の手なしには生きられん。
百姓はこのか弱い奴が、何を欲し何を嫌うかを
聞いて、見つけてやるのが仕事。
明けても、暮れても、頭の中は
このか弱い命を生かすこと、
命をまっとうさせること、
よく見てやれ、虫にやられてやしないか、病がないか、
病気があったらあったで、抜くしかないのか、
それとも治るのを待てるのか。
よく見てる人間には答えを教えてくれる。
バガボンド 37巻
宮本武蔵を描いた井上雄彦氏のバガボンドは僕が最も好きな漫画。
まさかその中で、稲を育てる極意に触れているとは驚きました。
今は亡き父ですが、思えばそんな姿勢で稲に向き合っていたように思います。
「よく見てる人間には答えを教えてくれる」
これは稲作だけでなく、他の事柄にも通じる極意に思えます。
いずれにしても、農業とは深いです。
一つの何かを深めれば(極めれば)、その他にも通じる深奥に行き当たるのだと思います。
芽吹いて、伸びて、穂が実る過程は季節とともにあり、少なくともその年はやり直しが効きません。
この技に習熟するのに一体、何度(何年)繰り返せば身につくのだろうと、思います。
米の漢字の由来は「実るまで88回の手間がかかる」です。
それも単なる作業ではなく、稲を慈しむように接して育てる作業です。
今は、その始まりの大切な時期です。
できることなら、自然災害がなく、秋には豊作を喜んで過ごしていられるように。
そんなことを思い、陰ながら日本の農家を応援したい気持ちになりました。
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