糧にしていく生き方
こんにちは。
失敗を怖がるのは誰もがそうかもしれません。僕もそうです。
個人の印象ですが、失敗を知られてはいけないとばかりに隠したり、不名誉に思ったり、恥ずかしいと思う風潮が世の中にあるのではないかと思います。ただ、普通に考えれば、いつも成功することなどありえず、失敗がないのだとしたら、それは容易いことばかりに取り組んできたことにはならないでしょうか。
失敗はあって当然で、失敗の方がむしろ多く、失敗をじっくり見据えて検証する文化を持ちましょう・・・とならないかなと思います。そうでないと、『失敗してはいけない』と重圧に感じて、息苦しくてたまりません。
実験は、試したいことの正否をひたすら行なって、分かることに努めます。実験の中身にもよりますが、実験がたった一度しかできないとしたら、緊張します。実験の中で何度も試行できるのなら、安心できます。一度しかできないなら、その前に何度も練習するしかありません。それでも、必ずうまくいく保証はありません。
そう考えると、失敗とは挑んだ「結果」ではなくて、最終地点への「過程」と位置付けられます。その「途上」に今は配置している意味を、どう捉えて、「ここからどうするか」に活かすまでです。だから、「失敗」=「駄目」「忌避」と捉えること自体に無理があるように思えてなりません。誰もが「成功物語」を安易に欲していないでしょうか。その無意識の総和が自分や周囲を追い詰めているかもしれません。
7.野村克也(プロ野球選手・監督)
恥をかき続けた27年間を終わってみて、「人間は、恥ずかしさという思いに比例して進歩するものだ」と、気がついた。それが「修行」。「恥ずかしい」と感じることから進歩は始まる。恥ずかしいことは隠すものだ。口にできないから苦しむ。高卒でプロ野球の世界に入った野村がルーキー当時、「俺、無知無学だから」と自らの劣等感を語ったとすれば、それは逆説的な自慢である。苦しみの本質は自分を恥じる劣等感からくるのではなく、悩んでいる自分を隠すことにあるのだ。
智将と称賛され、球界のトップリーダーの一人である野村が「恥ずかしい」と感じることをエネルギー源にして進歩につながったと語る。だが劣等感を飛躍のバネにしたというよりも、努力が報われて振り返ったとき、劣等感がバネであったことに気づくのだ。
プロボクシングの世界チャンピオンが引退後、テレビ局から解説者をオファーされて断った。「中卒の自分にしゃべれるだろうか」──自信がなくて断ったのだと、かつて取材したとき私に語った。あのときが人生の分かれ目だったかもしれないと気弱く笑った。
野村も引退後、テレビ解説者のオファーが来た。当時のプロ野球解説者は大卒のインテリばかりだったと野村は言う。それでも、野村は絶壁に爪を立てるようにしてよじ登り、世界チャンプはその場に立ちつくした。野村の言葉は私たちの心に刺さり、チャンプの言葉は素通りする。リーダーの言葉とは結局、体験なのだ。成功例でなくてかまわない。自分はかく思い、かく働き、かく生きてきた。体験で濾過した言葉だけが部下の心を打つ。
東洋経済オンライン
野村克也氏の数々の逸話、生前に語られた野球の肝は、人生にも応用が効く素晴らしい話ばかりです。そして、上記の内容もそうです。
目標とする到達地点が、出発地点から遠いのか、近いのかをまず最初に判断しなければなりません。野村克也氏は野球解説者をすることに対して、当時の常識に挑むことから始めております。もしかすると、出発地点から到達地点まで相当な距離がある、且つ障壁があったのかもしれません。それを踏まえて、絶壁に爪を立てるようにしてよじ登ったのだとしたら、その途上の事柄は「失敗」ではなくすべて「過程」であって、「挑戦」であって、「実践」です。登りきって到達してやっと「成功」の言葉が出てくるのでしょう。そう考えると「上手くいかない」を「失敗」と見做すことは、途中の簡易な一時的な「評価」でしかありません。そう考えると世の中には、失敗とラベル付けされた「道半ば」の物語がたくさんあるだけです。
結局、途中で終わらせないために、あくまで『途中の』期待した結果でない過程を、どれだけ糧にできるか。その工夫が求められているだけです。苦しいかもしれないけれど、その過程は『生きた言葉をもたらす』と記事は訴えております。苦しい時に何を考えて、何を見ていたか、困難に対峙した経験はもはや『宝』に等しいです。むしろ、結果(成功)より大事であることもあるかもしれません。そう考えると、真に尊いものは先(到達地点)にではなく、足元(過程)にあったとも言えます。
安易な正否判断よりも、糧にしていく生き方の方が遥かに尊いことがわかります。自分もまた、糧にしていく生き方をしぶとく考えてみようかと思いました。
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