退職代行
こんばんは。
文春オンラインの記事を見ておりましたら、たまたまこちらの「退職代行」の記事が目に止まりました。
退職代行とは本人に代わって退職の手続きを代行するサービスのことです。
初めてこの言葉を聞いた時に耳を疑いました。こんなサービス・仕組みが成立するのかと。
記事によると弁護士が行うものから、民間業者、労働組合が行うものまで様々で、弁護士の場合は退職の手続き以外にも本人に代わって有給消化や退職金の交渉をしたり、パワハラやセクハラがあった場合に訴訟を起こすこともあるそうです。
おそらくは会社側と一対一で交渉することが困難なためこのような事業が成り立つのでしょう。
なかなか組織の中で、組織の担当者(管理職等の上司)と対等に話をするのは容易では無いと思います。上下関係が常にあるため、言いにくいと思うのはよくあるのでは無いかと思います。
余談ですが、昔、ソーシャルワーカーとして生活保護の申請の相談に同席することがしばしばありました。必要があって同席するのですが、当人が自身の状況をうまく説明できなかったり、扶養義務の確認等を尋ねられたことを申請不可と思い込んで萎縮してしまうことが間々あり、同席した方が確実に事を運べる(同席しないと不利益が生じる懸念がある)と判断した時にそのようにしておりました。基本的にはクライエントを擁護する立場で対話仲介、対話促進を補助に努めます。一対一でうまく対応できなかったとしても、補助がつけば何とかなることが多いです。代行では無いけれでも手続きに補助が必要なことはしばしばあります。
私が退職代行を始めた3年ほど前は、「精神的に、あるいは体力的に限界なので会社を辞めたい」という思いつめた相談が多かったですね。でも最近は、少し変化してきたかもしれません。
精神的、身体的に追い詰められる前に退職代行を利用する人が増えてきている印象です。「同僚たちと仲がいいから、自分からは辞めると言いづらい」とか、「転職活動に集中したいから、退職の手続きは代わりにお願いしたい」とか。
すでに転職先が決まっていて、確実にこの日までに辞めたいから代行を利用したい、という利用も見られますね。
文春オンライン
上記の話から、以前は辞めたくても辞められないという深刻なものが多かったようですが、最近は文面からは単に葛藤を避けるような意味合いで使われる方もいるようです。
そうは言っても、そこにはいろんな事情が含まれていると思われるので、安易に言い切るのは乱暴なのかもしれません。
ところで、自分が前職で退職を告げた時は、かなり言い辛かったです。組織側から期待されていた役割を認識していたので多くの方に迷惑をかけるだろうな・・・と思うと気が重くて仕方がありませんでした。ただ自分が逆の立場だったならば、何も言わずにいなくなるようなことはせず、きちんと自分の口から、伝えるべき相手に伝えるのは筋かなと思い、勇気を振り絞りました。
退職を言えないほどの雰囲気や圧力をかけられるような懸念はなかったので、そういった意味では安心だったのですが、世の中の全ての人がそのような状況にあるとは限りません。
個人的には、退職は大事な自分の人生の決断なのできちんと自分の口から伝えられたという経験が大事だと思いますが、それができない雰囲気があるならば退職代行の利用はやむを得ないと思います。
昔、元首相の小泉純一郎氏が「結婚するのは容易いが、離婚は容易では無い」という趣旨の言葉を言っていたと思います。就職、退職もそれに似ている部分があるかなと思いました。それくらいに退職には心的労力を費やしたと感じるからです。
一度きりの人生、自分を大事にして当然です。
自分で退職手続きというある主の通過儀礼を経ることができれば幸いですが、それが叶わないのであれば退職代行やむなしと記事を読んで思いました。
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