「出世したくない」への対策

こんにちは。

数年前から、「出世したくない」人が増えているとの記事をよく見かけるようになりました。たとえばこちら(livedoor News)やこちら(CAREER A)などに載っております。

正直、気持ちはわからないでもありません。ちなみに、検索の言葉を調べるサイトを見ると「出世したくない」に続いて「出世したない 若者」や「・・・ 30代/40代/50代/女性」などの言葉が頻出しておりました。どうやら、本当に多いようです。

実は自分も管理職を経験した者の一人です。あくまで個人の経験を踏まえてですが、これがあったら出世してもいいかな(役職についてもいいかな)と思える内容を、勝手に七つ挙げてご紹介します。

その一 役割と業務分掌を明示する

役職者と一般職員とでは業務内容がかなり異なります。それも踏まえて所属組織の役職者(主任/係長、課長等)の職位に対して何をするのかの業務分掌が明確に示されているのが良いと思います。役割自体が明示されていない場合もあり、結果として要対応案件を何でも引き受けざるを得ない構造を生みかねません。そうなるとその人の許容量を超えて対応することになり、潰れかねません。職位の役割が明確で且つ公開されておれば役割期待は適切に収まり、また職位につく前段階の全ての人にとっても役職者の業務に対する観察学習が可能になるのではないかと思います。

その二 実践知の継承

公的な業務分掌とは別に、特定の役職を引き継ぐ際にどんな実践を行なってきたか、留意点、求められる能力(行動特性)の経験と実践知を継承できる仕組みがあれば良いと思います。役職者が交代するたびに全てが初期化されたのでは損失ではないでしょうか。

その三 役職離脱も認める

印象ですが日本の社会では現場の業務の働きが認められて役職者に引き上げられることが多いように思います。しかし、現場の業務遂行と部署の運営管理は全くの別物で使う能力も視点も異なります。いわゆるプレイヤー気分のままで自分が動いていると管理者たるマネージャーの仕事はできません。その適正があるかどうかという問題もあります。結果として合わないということもあるかもしれません。だから、どうしても合わない場合は役職を降りる意思を尊重する仕組みがあっても良いのではないかと思います。その人のためにもそれを決して不名誉なこととして扱わない配慮があって然るべきです。退路を断って奮起する場合もありますが追い詰められて良くない結果に至ることもあります。

その四 給与以外の役職者の魅力を伝える

役職手当がどの程度つくのかは組織によりけり、金額が見合うかどうかも十人十色の見解があることでしょう。一般的に役職手当があれば時間外は出ないのが殆どだと思います。しかし手当があるのだから耐え忍べというのも酷な気がします。それよりももっと内発的動機づけとして、役職に就くことでの業務の魅力や楽しさを発信できると良いのではないかと思います。個人ではしきれないことを部署として、集団を指揮して事を為すというのは規模の大きな仕事の仕方だと思います。今や「放っておいても役職に就きたがる」という人は稀だからこそ組織の維持と向上のためにこれまでにない職員への宣伝が必要ではないでしょうか。

その五 鍛錬期間を設ける

役職者教育を数時間ほどの座学で行うことはどこでもやっていると思います。しかし大変なのは実践です。その二とも少し重なりますが、よちよち歩きの段階での役職者の業務実践の実践知が少し形成されるまでの鍛錬期間(例えば新旧役職者でスーパービジョンを実施する期間を設けるとか)が保証されてもいいのかなと思います。一般職員もそうかもしれませんが役職者もかなり人から「値踏み」され、なかなか心理的には辛いものがあります。それを乗り越えて成長する機会の確保は絶対に必要です。

その六 役職者を孤独にさせない

自分も就いてから思ったのですが、役職に就くと自分ではなく周囲の自分に対する見方、期待がガラッと変わります。◯◯長と急に呼ばれ、長に相応しい振る舞いや期待を求められます。弱みを見せ辛くなり、下手に愚痴や批判を口にすると予想もしない問題が生じかねません。個人的には黙って考えて、自分の思いを押し殺すことが多かったです。(中には発散しまくる人もいるかもしれませんが・・・。)一口に役職者と言ってもいろんな個性がいるのは当然ですが、基本は孤独がつきものなので役職者間の繋がり、助け合いはあるに越したことはありません。(利害関係があると難しいかもしれませんが・・・)

その七 役職者への支援

その六とも関連しますが、役職者ならでは心理的負荷があり役職者を支援する仕組みが必要です。部下の悩みや業務遂行の支援は上司(役職者)が行います。しかし意外と上司(役職者)の支援をする仕組みが定まっていないことが多いように思います。さながら子どもへの支援はあるけど大人にはない、かのような感じです。先に挙げたスーパービジョンは平たく言えば専門職への指導・支持・教育的支援でそこには指導する者(スーパーバイザー)と指導される側(スーパーバイジー)の関係が定まっております。そのような勾配がある構図よりは対等な感じで、それこそカウンセリングのように悩みを聞く(傾聴・対話)仕組みがあれば良いのにな、とずっと思っておりました。役職者もそうですが援助職、教員など人を労わる・支える業務の心的負荷は大きいものです。ささやかながら彼らを心理的に支えることができたらと思って、ホームページ(最初のページ)にも載せた次第です。

自分が在職時にこんな仕組みがあったらとても助かっただろうと思います。これだったら「自分でもやれるかもしれない」と思えます。

僕の専門はソーシャルワーク、人と環境の視点で捉えて介入します。今回のこの話はより良い心理状態、心の健康を保つために働きかけた方が良い事項です。つまり、環境を整える視点の話です。心だけに働きかけるには限界があるので環境要因の整備もとても重要です。

あくまで個人の見解ですが参考までにまとめてみました。良き環境づくりにためには個々の意識向上と雰囲気作りが不可欠です。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。

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