認知の齟齬(そご)
こんばんは。
かつて、医療メディエーター(対話仲介者)という役割を担うことになった時、医療メディエーターの基礎講習を受けました。
自分はソーシャルワーカーとして、ある程度に面接技術を持っていると思っていたのですが、医療の苦情相談や紛争解決に用いられる医療メディエイトの技法は、また異なる切り口で意思疎通と相互の認知について語られていて、とても勉強になりました。
その講習を受けて、かれこれ十年近く経つのですが、今でもその時に教わった内容を思い出すことがあり、また、普段の仕事にも活かされていると思います。
画像引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/101/8/101_2360/_pdf
言葉で説明するよりも図示されたものの方がよく分かり易いと思います。人それぞれの知識や人生経験、信念等に基づいて、認知の枠組みを各々が持っております。その認知の枠組みから生じた認知の齟齬(そご:食い違い)のこ とを「コンフリクト」と言います。
出来る限りに、理解がずれないように、このように図で示すというのも認知の齟齬の防止に役立つと思います。それでも、人や状況によって、完全でありません。
ある程度に見知った相手であれば、相手の経歴や性格等が分かるので、相手がおおよそどんな風に話を受け止めてくれているかは、おおよそ想像がつきやすいと思います。
一方、初めてお会いする方、例えば、僕の立場で言えば、初めてカウンセリングを受ける方であれば、カウンセリングに対する経験値が無いので、経験された方と同じ前提に立つと、必ずズレが生じます。
また、どんなカウンセリングを経験してきたかによっても異なるので、やはり何かしらの認知の齟齬の発生はやむを得ないのだと思います。
この「起こりうる」という前提が大事だと思います。どんな言い回しをすれば、認知のズレが生じないのかと考えることは、認知の齟齬の発生抑止になると思います。
いろいろな管理職を見てきて思うのは、「普通、こうですよね」といった発言をする管理職についた部下は長く定着しにくい傾向があるということ。
人によって「普通」は違う。
しかし、「普通、こうですよね」という発言をする上司は、「人によって普通が違う」という観点が弱いので、部下の事情も考えずに自分の普通を押しつける傾向にある。
Yahoo!ニュース(DIAMOND online)
このようなすれ違い会話も、認知の齟齬を説明するにはわかりやすい例だと思います。
管理職になるほどの経験や知見がある上司、経験が浅い若手であれば、「普通」の定義が異なっていることでしょう。言葉に対する共通認識、定義が共有されないと、言葉は通じるのに話が通じないという、とても疲れる事態が発生してしまいます。
これはなかなか大変な状況です。
互いに「もういいよ」という心境が働いて、疎通を図ろうとするのを止めてしまったり、しにくくなるからです。
そういう訳で、言葉を聞いて、相互にどんな心象を描いているかを確認する行為は、精密な意思疎通場面であればあるほどに不可欠です。
大変でもあり、面白くもあり、とかく人を理解するということは実に奥深いと感じます。
投稿者プロフィール
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青森県八戸市・階上町を中心にカウンセラーとして活動しています。また、電話・オンラインカウンセリングもご利用いただけます。
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