言葉化しきれない情報を察知する
例えば借家を借りる時
今時はネットで物件の場所も室内も、風呂も台所も日当たりも立地も何でも細かく見られます。何を確認すれば良いかさえも、サイトに詳しく説明されている丁寧さ。
「ここで大丈夫そうだな」
そう思って内見に行くと、思わぬ落とし穴があったりします。
駐車場が妙に狭かった。
借家の付近の道幅が狭くて、辿り着くまでが大変。
照明を点けていると明るいが、消すと妙に暗い。
日当たりの加減で、涼しい(寒い)。
物件サイトに十分過ぎるほどの情報が載っていて、その情報で万全と思っていてもそうでは無いことはあります。
勿論、サイトが悪いわけではなくて、言葉にしきれないたくさんの要素があるということ。
昔、医療ソーシャルワーカーをしていた時。患者さん、ご家族に高齢者施設を紹介する際は本人の心身状態に対して十分な介護を提供してくれる、ご家族が通える地理関係、入居費用の三点は必須項目でした。
それ以外にも、細分化された制度区分の違い、空き状況等、確認事項は山ほどあります。
そして、理屈抜きに、施設自体(中の職員・全体の雰囲気)がご本人・ご家族と適合するかどうかは最も重要でした。
紹介する側にとっての「良さそう」とご本人側の「良い」は必ずしも一致しません。だから、「確認するべき項目」も大事ですが「直感も含めたその時の感覚、その時感じた先方との相性も確認してください」と言い添えるようにしておりました。
この「感覚」が意外と当たるもので、良いと感じた得は本当に良く、なんか引っかかるという時は後から、相応の理由があると分かることもありました。
ソーシャルワークの観点から、社会資源(人・物・金など)との関係性、相性という見方があります。また、理知的に完璧に説明するのは難しいのですが、その「感覚」は意外と当たります。
たくさんの視覚情報や雰囲気から、個々人の暗黙知を通して導き出した答えはそうそう外れないのだと思います。
感覚を必ずしも言語化しきれなくても、その人にとって当たりか否かは、対象の雰囲気に触れることで判断出来ることもあります。
お金や手間がかかることだからこそ、慎重にならざるを得ません。
そんな時は筋道立てて判断する理性と共に、自分の中に眠る暗黙知をも総動員すると、より万全なのではないかと思います。
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