子から学んだこと
こんにちは。
『子どもが一才ならば、親もまた一年生だ』と言われた記憶があります。
また、『子育てが出来る時には限りがあるから楽しんで』とも言われた記憶があります。
あれから何年も経って、その通りだと思うと共に、聞いたその時はその意味を必ずしも理解できていなかったと思うことが多々あります。
子育てとは何だっただろうか、自分はどんな子育てをしたのだろうか、親としてどうだったのだろうかと、ふと思うことがあります。
必ずしも、こうあるべきと思う必要は無く、また、誰かと比べる必要もありません。
ただただ、いろいろなことを子から教わったという思いがあります。
子どもは、自分に向けられる眼差しを、小さくてもきちんと理解していた
幼児の頃、じーっとこちらが見つめると、子どももじーっと見つめてきて、「大好きだよ」というと、満面の笑みを返してきてくれて、大人にはないこの無垢な笑顔に射抜かれるような思いでした。
ギュッと抱きしめて、背中をトントンと撫でると、子どもの嬉しさや安心感が、雰囲気や仕草から伝わってきました。
心理学で人を低く評価することをディスカウント(値引き)と言いますが、自分が軽んじられると小さいながらも、精一杯の抗議をしてきたものです。
「自分は100点満点なんだ。勝手に下げないで」という前提があるのだと気づいた時、小さくても、しっかりと心を持っている子の存在が愛おしく、また、尊厳を感じずにはいられませんでした。
親子といえども、性格は違う
当たり前かもしれませんが、親子でも性格が似ている部分はあっても、違うのだと思いました。
僕は内向的ですが、子どもは外交的で、活発に外に出たがる子どもでした。
だから自分の物差しをこの子に当てはめてもいけないのだと分かりました。大きくなるほどに物の好みも、好きな食べ物や好きな色も、興味関心を持つ対象も、この子が持つ、この子ならではの嗜好があるのだと思いました。
言葉で、きちんと自分の思いを語ってくれる
ソーシャルワーカーとしての経験から、『自分を分かろうとする人のことを、人は大概受け入れてくれる』という経験則は、子どもにも当てはまると思います。
「どうしたいの」「何があると嬉しいかな」「何をすると楽しいかな」と尋ねると、幼児の時であっても一生懸命、言葉にして、「自分のことを分かって」と言わんばかりに、熱弁してくれました。
僕には、ただただそれが新鮮で面白くて、ずっと聞いていられました。
小学、中学と成長を重ね、時に難しい課題で話し合わねばならない時も同様で、「どうすると良いか、考えを聞かせてくれ」と言うと、それなりに向き合って語ってくれたかなと思います。
「君のことをもっと知りたいんだよ」の姿勢は、どの年齢であっても重要だったと思います。
嫌がることを強制してはいけない
子が小学生の時、同学年の子どもたちは、何かしら習い事や塾に行っている子がほとんどでした。
僕自身は、学校から帰ったら真っ先に遊びに出かけた方ですが、子どももそうで、実に楽しそうで、子どもらしくしているのはよく伝わってきました。
反面、ある時、なかなかの成績を取ってきた時が続いて(⤵︎)、懲罰的な意味合いもありましたが、無理に塾に行かせようと思ったことがありました。
それが嫌な子どもは、強制がいかに良くないかを、子どもなりに熱弁してきて、それがなかなか良くできた内容で、聞いていて面白くすらあり、「そんなに熱弁できるなら、自分できちんと勉強してみな」といったら、あっさりと応じてくれました。
「出来ない訳ではないが、やらないだけ」
丸め込まれたような気もしますが、自分の意思で動いてくれる方が親としても費用対効果が良かったと思います。
躾けや教育についても、親としてきちんと出来ていたかなと、いささか気になる部分があります。子どもは、親が思う以上に親のことを見ております。特に、言行不一致があると、目ざとく見ていたりします。
立派な親を演じようと思っても無理です。ずっと子どもと一緒にいる訳ですから。ただ有りのままが子どもに伝わります。
だから、子育てとは、子どもと親の交流の総和なのだと思います。少し失敗したからとて、悪くはなりませんが、逆に、少し上手くいったとて、こと更に、良くなりもしません。そのように思います。
子育てとは、実に不思議な、得難い経験であったと思います。
もっと言うなら、子に「親としてどうだった」と聞いてみたいな、そんなふうに思います。
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