ビジネスケアラー

こんにちは。

ここ数年、『ヤングケアラー』という言葉が知られるようになりました。

病気や障がいのある家族・親族の介護・面倒に非常に忙しくしていて、本来受けるべき教育を受けられなかったり、同世代との人間関係を満足に構築出来なかった子どもたちという意味です。

彼らに対する支援策がさかんに議論されるようになりました。

そして、『ビジネスケアラー』という言葉があるのを最近知りました。

「働きながら介護をする人」「仕事と介護を両立している人」という意味です。こちら(東洋経済オンライン)によると『45~49歳で20人に1人、50~54歳では8人に1人が当事者』とされるようです。

一緒に暮らしていて、直接に介護を担う立場の人。一緒に住んではいないが、介護を担う人。いろいろな立場の方がいると思います。

仮に正社員として働いているとして、通勤も含めて、ざっと一日9時間前後は就労に時間を取られ、これだけ働けば心身ともにくたくたになります。家に帰ってきて、さらに介護をするというのはなかなかの重労働です。

自分の時間の確保もままならず疲弊するのも目に見えております。

この構図は、核家族で子育てしている家庭でも同じだと思います。

子育てや介護を抱えて、普通に出勤して仕事をするとは、実は超人的な激務であると思います。どのくらいの労力を要するかは人それぞれですが、「労働者」の側面、「親」としての育児の側面、「介護者」としての家族の役割など、二つの役割の遂行は容易ではないと思います。

支援する立場では、介護者が過大な負担によって倒れるような事態だけは何としても避けたいと考えます。介護者が一人なのか、それ以上いるのかによっても事情は変わりますが、それでも別の課題が浮上すると介護それ自体がままならなくなります。

支援の世界では、よく「助け上 手は、助けられ上手」と心構えを説くことがあります。

「他者を助けること が上手な人は、他者から助けられることも上手である」という意味です。逆に「助けられるのが上手な方は、助けるのも上手」と言われます。

真面目な方ほど、自分でなんとかしなければと考えがちで、自分の事情を周囲に伝えることをためらってしまいがちです。しかし、事情を知らなければ、本人の側から力を貸して欲しいと言われなければ、助けようがありません。

要介護者と介護者の個別状況、介護者の就労環境の組み合わせによって、対応の仕方は千差万別です。「こうすれば良い」という分かりやすい方法論はなく、個別に丁寧に、個別状況を読み解いて、対応を考えるより他はありません。

どちらにせよ、「就労(労働)」という役割、「介護」という役割の二刀流は決して容易ではないということは、前もって理解して、難しいことに臨む前提でいるのが間違いないと思います。

そうすることで、周囲の助け(親族・職場・公的サービス)が不可欠と認識出来て、「助けられ上手」への一歩を踏み出せると思います。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
青森県八戸市を拠点に普段使いのカウンセリング(日常の悩み事)と支援者への支援(援助職のためのカウンセリング)をご提供しております。

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