人には向き、不向きがある

石の上にも三年。
我慢強く、辛抱強く続けていれば必ず成功するとの例え。
昭和生まれの僕には、骨の髄まで刻まれている言葉。

他でもなく、僕の親がそれを体現したような人でした。
学生の時、長続きせずに辞めてしまったアルバイトがありました。
それをうっかり親の前で言ったら、説教された記憶があります。

結論から言えば、どうしても人には向き不向きがあります。
ただ、それを言い訳として言ってしまうと説得力がないのが苦しい所です。
僕の友人に、卒業して就職した会社での業務で、指先の器用さが求められる作業があり、どうしても上手く出来ずに辞めてしまった例があります。やはり家族からは、厳しく叱られた模様。しかし、その後に就職した所では、不器用でも愚直なまでの生真面目さを発揮し、20年以上、ずっと同じ会社で勤めております。そこでの適性があったのでしょう。

見極めというのは、本当に難しいですね。
一つのことをやり続ければ、それで良し、または、必ず成果を出せるという保証はありません。明らかに「合わない」と思っても、石の上にも三年と考えるべきか。「我慢強く」と「戦略的撤退」の間で揺れるのが常なのかもしれません。

林修氏は『努力は裏切らないっていう言葉は不正確だ。正しい場所で、正しい方向で、十分な量なされた努力は裏切らない。(引用:テレビウォッチ)』と言いました。
努力ひとつについても、このような難しさがあります。
また、『大切なのは失敗体験ですね。たくさん失敗したら自分の負けパターンがわかってくる。そしたら、そうならないように先手が打てるようにもなります。(引用:テレビウォッチ)』とも言っております。

僕は、大学卒業してから、一つの機関でずっと勤めておりました。
ただ、退職後、開業までの間に複数の副業に挑みました。恥ずかしい話、箸にも棒にもかからず、辞めたものがあります。
その時は、そんな自分が惨めで情けなくて堪りませんでした。どうやら、一つの所で勤め上げた忍耐力や能力はどこでも通用する訳ではなく、特に、別の業種、機関も変われば、そこで活躍できるかは全く別問題だということに気付きました。
よくよく考えれば、当たり前のことかもしれません。

だから、林修氏が言った「自分の負けパターン」ということは、とてもよく理解できます。
前職の業務においても、自ら不利な状況に陥らないように先手を打ってきた(あまり意識してなかったのですが)場面がたくさんあったことを思い出しました。

詰まる所、たくさん挑んで、たくさん失敗しないと、本当の見極めはできないと思います。
その過程で自分が何が得意で、不得意で、どんな状況下で特に力を発揮できるか、逆にどんな状況に陥ると力を発揮できないのかが、だんだんと分かってくるのだと思います。
そう考えると、考え無しに、ただ耐えるだけでいるのは賢明ではないと思います。

そう考えると、多少の失敗にも十分に意味を見出だせます。
一つの場所への適性がなかったとしても、決して「駄目」なんかではありません。
むしろ、自分の力を発揮するために◯◯の環境条件が必要だと言えるくらいに自信を持って構えても良いのではないかと僕は考えます。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
青森県八戸市・階上町を中心にカウンセラーとして活動しています。また、電話・オンラインカウンセリングもご利用いただけます。
普段使いのカウンセリング(日常の悩み事)と援助職のためのカウンセリングをご提供しております。

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