人をコントロールしない
こんにちは。
『援助職のためのカウンセリング』の結い心理相談室(青森県八戸市)です。
数多いサイトの中から、当事業所の記事をご覧いただきありがとうございます。
対人援助職には是非、知っておいて欲しい話。
僕は、ただただ共感し、同意します。
アメリカの打撃コーチって、一番朝早くに来て
一番最後に帰るの。ずーっと(練習を)見てんの。
一向に教えてこない。見てるだけ。
俺打ってるじゃん、「何見てんだ、お前仕事しろよぉ。
教えてこいよ」と思った。
ある時、タイミングの取り方が分からなくなって
そのコーチに聞きに行ったの。
「タイミングの取り方を教えてほしい」
待ってましたとばかりに、アタッシュケースの中から
GG佐藤の資料、準備万端でもう・・・連続写真とか。
「これが良い時、これが悪い時。
今こうなっているからこうした方が良い。」
って教えてくれたの。
「えっ、この資料、俺が訊きにこなかったら
使わなかったの?」って訊いたら
「使わない。求めてこない者に教えても意味がないだ。」
もしかしたら、そのコーチがよく言ってたのは
「日本人のコーチはもしかしたら、選手をコントロールしようと
してるんじゃないのか? 人をコントロールするのはできない。
自ら求めない限り、行動することはないんだから
内発的動機づけを如何に生むような関わりをしなきゃいけないんだ」
っていうのをよく言ってましたね。
自分で考えさせる文化ですよね。
で、考えた中で、分からなくて、アドバイスを求めて来た時に
指導者はそのアドバイスに応えてあげるっていう
導くリードマネジメントみたいな感じでしたね。アメリカは。
アメリカの打撃コーチの真似をしろと、勧めている訳ではありません。
ただ、この原理、人の動機づけの仕組みを知っておくと必ず役立ちます。
対クライエントとの関係において。
「クライエントが求めてもいないことを、先回りしてあれこれ勧めても
なかなか上手くいかない」
数年でも援助経験があれば、肌感覚として理解できると思います。
「クライエントが困らないように、良かれと思って」
しかし、実際はクライエントをコントロールしようとしていないでしょうか。
求めていない者に勧めても、喜ばれなかったりします。
また、定着も期待できません。
だって、必要性を感じていないのだから。
むしろ、内心は「余計なお世話」と思われているかもしれない。
マネージャーとして、対部下との関係において。
中堅の援助職ともなれば、援助職としての自我が芽生えており
新人のように何でも受け入れる訳ではありません。
納得がいけば聞き入れるけれど、納得がいかなければそうではない。
プロである以上、その自意識や信念は当然です。
頭ごなしに彼らに、あれしろ、これしろと助言するのは悪手です。
迷惑がられるだけです。
一番良いのは、自らの力では解決できないことを悟り
意を決して、助言を求めた時を好機として活かすこと。
厳しい指摘も含めて、普段なら受け入れ難いことでも
改善のためなら、プロである彼らはそれを受け入れます。
こういう人の機微を、援助過程で実感しているはずなのに
意外と忘れて、失敗してしまうのです。
援助関係において「なんか上手くいかないな」と思うなら
一度は振り返った方が良い内容です。
人間の仕組みを知るのが大事ということです。
投稿者プロフィール
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青森県八戸市・階上町を中心にカウンセラーとして活動しています。また、電話・オンラインカウンセリングもご利用いただけます。
普段使いのカウンセリング(日常の悩み事)と援助職のためのカウンセリングをご提供しております。
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