ただ居るだけで
昔、とてもお世話になった不動産屋がありました。
転居に伴い、自宅を売却するに当たって、親切に対応してくれました。自宅の売却など初めてで、分からないことだらけで、期限もあり、本当に売れるのか焦ってもおりました。
何とかなる見通しがあったのかもしれませんが、温和な表情で大丈夫ですよと言われると、とてもホッとしました。細かい質問をしても、一つ一つ丁寧に答えてくれる姿に、この人に任せたいと思わずにいられませんでした。
他の業者とも話をしましたが、相性というのは不思議なもので、最終的にお願いした不動産屋にまるで決まっているかのように、引き寄せられて契約をしました。
転居した後も、どうしているかな、と時々思い出すことがありました。
ある時、その不動産の前を通ったら、事業所を閉じている作業の真っ最中でした。
ホームページを見たら、事業所統合とありました。会社にもいろいろな事情や経営方針がありますから、こちらがどうこう言えた立場ではありません。
ただ、少しだけ、寂しさが過りました。
そして、昔のことがいろいろ思い出されて、あの時は本当に助かったなという気持ちが何度も蘇ってきました。
とくに連絡をとっていたわけではありませんが、ただそこに居てくれていただけで、その存在感をずっと感じていたのだと思いました。
特に何かをしてもらっていた訳ではなくても、ただそこに居ると思うだけで、何故か僕の心の一カ所を埋めてくれていたのだなと不思議な感じがしました。
こういうのは、往々にして、無くなって初めて気がつくことばかり。
僕の日常は、自分でも意識していない、たくさんのあって当たり前に支えられているのだと思います。
ただ居るだけで、ただあるだけで。その力は思いの外、大きいようです。
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