交錯する期待

こんにちは。

何年か前にテレビで流れていたCM(日本のひとときシリーズ)が好きです。

和の風景も音楽も、綴られる言葉も、どれも秀逸です。

その中の『会えない時間は、会えない時より、人を想っている』という句があります。

人の心の機微をよく表していると思いました。

交流分析に「ストローク」という用語があります。

ストロークとは、相手の存在を認める行為(刺激)のことを言います。

肯定的なもの(肯定的ストローク)は心の栄養物になります。この栄養物をたくさん受け取ると、心のコップに水が溜まっていく、満たされていく、そんなイメージです。

逆に、否定的なもの(否定的ストローク)は水を吸い取ってしまい、心のコップをからっぽの状態にしてしまいます。乾いているよ、誰か助けて、そんな感じです。

ストロークには言葉(言語)と言葉でないもの(非言語)があります。
非言語とは、表情、声のトーン、しぐさなどです。

また、ストロークには「無条付きのもの」と「条件付きのもの」があります。

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CMの中の言葉は、厳密には、相手を想う心を歌にしているだけなので、相手に届くストロークにはなっていないと思います。

しかし、届いたなら、とても強い肯定的ストロークになるだろうと思います。

誰だって、肯定的なストロークがあれば嬉しく、否定的なストロークがあれば悲しくなります。

そして、引用元の記事の中で触れられていたのが、否定的ストロークよりもっと心が痛くなるものがあり、それが「ストロークがないこと」であって、つまり、「無視される」「関心を持ってもらえない」ことだと言われております。

これを読んでいて、僕の頭の中に『期待』という言葉が浮かび上がりました。

『期待』とは、基本的には嬉しいものであり、肯定的ストロークであると思います。

しかし、もし、期待に応えられなかったら、どうなるのでしょうか。「無条付きのもの」と「条件付きのもの」があると言われているように、期待を与える側にもよりますが、期待に応えれば肯定的となり、期待に応えなければ否定的なものになりえます。

個人的には、この期待については苦い思いがあります。

あからさまに、強く、面と向かって期待を口にされた場面があった訳でもありませんが、僕には不思議なほどに、それに相応する雰囲気を多数の人々から、ひしひしと感じたことがありました。

こういった実態がはっきりしない期待は、対処が少々厄介です。期待を口にした者と何かしら約束を交わしたのであれば、上手くいっても、上手くいかなくても、返答のしようがあります。

しかし、はっきりとしない期待感の場合は、上手くいっても、上手くいかなくても、返答のしようがありません。

だから、発信元が少数であれ多数であっても不特定の場合、その期待は対象者に『まとわりつくような期待』として、無自覚に相手に届くと思います。

まるで祝福と呪いが表裏一体の祝詞みたいに感じます。そして、「期待に応えることは僕の勤めでは無い」と口にして、それを振り払いました。

もし、これが「親子関係」や「夫婦」「親しい友人」であったならば、結構な縛りになるだろうと思いました。

人と人との間で、期待が生じること自体は避けられるものでは無いと思います。しかし、(一般化できるかどうかは不明確な点はありますが)人は思いの外、律儀に期待に応えようとするのだと思います。真面目であったり、しっかりしているほど、寄せる期待が大きいほど、「応えなければ」の思いは強くなるのかもしれません。

期待は、特定の人間関係にだけ起こるとは限りません。

たくさんの情報媒体の広告によって、「○○らしくあれ」と無意識に植え付けられることだってあり得ます。それに応えられなかった時、どんな気持ちになるでしょうか。

どんな期待であれ、答えることが目的になると、期待に自我が乗っ取られ、自分を生きることは難しくなります。

人と人との間で、期待が生じること自体は避けられないと思います。だから、自分が誰に期待を発しているかを、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

また、自分が期待に縛られていることも有り得るので、何か自分の苦しさの背景に、強い期待があるのであれば、期待の詳細を探ってみると良いでしょう。

詰まる所、我々は、たくさんの想い・思惑の交錯する中に、生きているということ。それに影響を受けざるを得ないのであれば、それなりの構えをとって、自分を保つ術を持っても良いのではないでしょうか。

投稿者青森県八戸市・階上町の心理カウンセラー)

中田雅也

人間関係、職場のストレス、働き方、家族、将来や人生についてのお悩み、性格等の自分自身の悩み、人を支える立場の方の悩みに対応します。 あなたのためだけのプライベート・カウンセリングをご利用ください。

投稿者プロフィール

中田 雅也
中田 雅也結い心理相談室
あなたのミカタ(味方となり、強みを再確認し、見方を再構成し、やり方を一緒に考える)となって、ソーシャルワーク&カウンセリングを駆使して、あなたの今ここからの歩みをお手伝いします。

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