心が乱れる時は
以前見た映画で以下のような一場面がありました。
琴の師が、弟子に指導をする場面です。
弟子が琴を奏でます。
一見して、淀みなく、巧みに琴線を引きます。
しかし、師は、弟子に言います。
『今日はいつもと音が違いますね。音が跳ねております。』と。
映画の場面では、心中穏やかではいられない出来事が、登場人物に起きておりました。
思わず、唸りました。
心の状態、小さな乱れでも、行いに、特に繊細な作業には影響を現し得るのだと思いました。
例えば、誰でも、深刻な事柄が起これば、顔色も悪くなり
何かをする気力も起きなくなります。
しかしながら、仕事を背負っている場面では、しない訳にもいかず
いわゆるポーカーフェイスを装って、必死に事を為そうとするのは、程度の差はあれ、多くの人が経験済みでしょう。
平静を装い、表に出さないようにと思えば思うほど
非常に神経を使う微細な部分まで繕う余裕が無く、綻びは出るものです。
個人的には、身内の命が関わるような状況があった時の業務は本当に辛かったです。
クライエントを支援する立場ではありながら、支援する余裕を持ち得ず
どうしても身内のことを考えずにはいられませんでした。
ある医師との会話で
『医療従事者を含め、人を支える仕事に全力を尽くそうと思ったら
何より自分自身の環境が落ち着いてないと、とてもやれませんね。』と言ったら
すこぶる同意してくださいました。
支援者もまた人ですから、当然ですね。
心が乱れる事態は、向こうから勝手にやって来てしまいます。
必死に平静を装っても限界があります。
どんな立場であろうと、どんな強者と思われる人でも、人は人です。
そんな時、出来るなら無理をせず、ただ事に向き合うことに専念できれば幸いです。
突発に事が起こるのは人生の常、そして、お互い様。
事が起これば、心は乱れて当然です。
そっと、あるいは、じっくりと事態と心を見据えましょう。
人の力も借りながら、対処していきましょう。
そんな前提を、周囲の人々(職場や家族等)と平素から作っておくことができれば賢明です。
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